法人成りのベストタイミングはいつ?ポイントや注意点を解説

法人成りのベストタイミング

 

「個人事業をしているけど、売上も増えたからそろそろ法人化したい」など、法人成りを前向きに考えている個人事業主は多いでしょう。法人化すれば、事業の拡大を後押しできるほか、節税対策にもなるなど大きなメリットが得られます。一方で、法人成りのタイミングがわからない、見誤って損したくないという声も耳にします。そこで今回は、法人化するタイミングについて解説。個人事業を法人化すべきポイントを、具体例とともにご紹介します。

 

 

法人成りを検討する4つのポイント

法人成りを検討するポイント

 

「売上が好調だから法人成りしよう」これは間違いではありません。売上面以外にも、法人成りを検討するポイントは他にもあります。法人成りする具体的なタイミング例を紹介する前に、まずは法人成りを検討すべき3つのポイントを解説します。

 

法人成りするポイント1.利益・売上額

個人事業主は、売上や利益に応じた所得税を支払う義務があります。さらに、個人事業主は所得額が大きくなるにつれて税率が段階的に上がる超過累進税率が適用され、場合によっては売上や利益の半分以上が税金として手元に離れる可能性もあります。加えて住民税が10%かかるのも、負担増と言えるでしょう。 

 

一方、法人は利益が800万円を越えると23.30%と一定額で税率が固定される比例税率になります。わかりやすく言えば、所得税と比べて売上や利益に応じて増えていく部分が少なくなるということです。法人成りは、売上や利益がある程度上がったタイミングがベストと言えます。 

 

また、季節に連動して売り上げがピークを迎える業種の場合、このピークを法人として向かえるようにすれば、法人成りによる節税効果が大きくなることがあります。とはいえ、売上がピークを迎える多忙なタイミングで法人化の手続きを同時進行するのは、売上を伸ばすチャンスを逃すことも。法人成りをしてから売上ピークの季節を向かえることがおすすめです。

 

法人成りするポイント2.消費税

個人事業主も法人も、年間売上が1000万円を越えるとその2年後から消費税の納税義務が発生します。一方、法人の場合過去2年間、設立後の2年間の売上が課税売上としてみなされません。この制度を利用すれば、大きな節税効果が得られます。 

 

ポイントは、年間売上高が1000万円を越えたその翌年に法人成りすること。これにより、さらに(最低)2年は消費税の納税義務が発生しないため、消費税納税の義務が発生するタイミングこそ法人成りを検討するタイミングと言えるでしょう。

 

法人成りするポイント3.社会保険

個人事業主の場合、特定の業種で5名以上雇用している状態でなければ、厚生年金や健康保険などの社会保険に加入する義務はありません。しかし、個人事業主が加盟する国民健康保険や国民年金は、法人が加入できる社会保険に比べて補償が最小限。その点、法人は雇用人数にかかわらず社会保険に強制加入となるため、社会保険による手厚い補償が得られるメリットがあります。 

 

とはいえ、法人は従業員分の社会保険料も負担しなくてはならないため、人件費が多い業種の場合は社会保険の金銭的負担が大きくなります。場合により損する場合もあるため、社会保険の面で法人成りのタイミングを検討する際は注意が必要です。

 

法人成りするポイント4.社会的な信用

法人に比べ、個人事業は社会的信用が得られにくく、資金調達や取引の面で不利になりがちです。事業拡大のために銀行の融資を受けたくても、個人事業主だと審査が通りにくいケースも多々あります。また、企業によっては法人でしか取引をしてもらえないところもあります。 

 

その点、法人成りすれば社会的信用力が得られ、融資や取引の可能性も大きくなります。事業が軌道に乗り、さらに拡大していこうと考えたタイミングが、法人成りのタイミングと言えるでしょう。

 

 

法人成りのタイミングはこれ!具体的な時期をチェック

法人成りのタイミング

 

個人事業主には叶えられなかったことも、法人成りによって可能性が広がります。また、法人化によって得られる節税効果も見逃したくないポイントです。ここでは、法人化で得られる節税効果に焦点を当て、法人成りにベストなタイミングを2つご紹介します。

 

タイミング1.利益が500万越えしたとき

超過累進税率が適用となる個人事業主の場合、利益が500万円を超えた時の所得税の税率は20%です。同じ500万円の利益でも、法人税率は約23.2%なのでこの時点では個人事業主の所得税が安いことになります。 

 

とはいえ、法人の場合は経費に算入できる項目が増えるほか、赤字を損益通算できる期間も長くなるため、総合的に考えると利益が500万円を超えたタイミングで法人成りするのがベストなことも。利益が500万円を超え、さらに今後も利益の増加が見込まれる場合は、前向きに法人成りを検討すべきでしょう。

 

利益が900万円以上だと、所得税(税率33%)よりも法人税(800万円以下は税率19%、800万円以上は23.2%)のほうが安くなります。

 

タイミング2.売上が1000万円超えしたとき

個人事業主・法人にかかわらず、その年の売上が1000万円を超えると消費税の納税義務が発生します。しかし、法人成りすればそれ以前の個人事業の売上はカウントされず、法人成りして2期目まで免税されるのは先ほど説明した通りです。 

 

この場合、個人事業主としての免税期間2年分、そして法人設立の免税期間2年分を合わせて最大4年間消費税が免税されます。売上が1000万円を継続的に超える見込みがあれば、節税のために法人成りするのが良いでしょう。

 

ただし、法人の資本金が1000万円を超える場合は免税になりません。

 

 

法人成りのタイミングをシミュレーションするならプロにお任せ

法人成りのタイミングをシミュレーション

 

法人成りは事業者自身が一人で行うこともできます。しかし、必要な手続きを調べたり、扱いなれない書類をたくさん作成したりと、時間と手間もかかるもの。なにより、法人化で得られる節税効果をうまく利用するためには、売上や利益、今後の事業についてもシミュレーションしていかなくてはなりません。 

 

法人成りの適切なタイミングを逃したくない方、また法人化の手続きをスムーズに行いたい方は、司法書士や行政書士、税理士、社会保険労務士などの専門家に相談するのもおすすめです。それぞれの専門領域によって依頼できる内容が変わるほか、報酬額も会社の規模や社員数などによって変動するため、依頼の際は事前にチェックしておくと良いでしょう。

 

 

法人成りのタイミングで進めておきたいVI制作

法人成りのタイミングで進めておきたいVI制作

 

事業が軌道に乗っている、もしくは今後事業を拡大するなどの目的で法人成りのタイミングを図っている方も多いでしょう。そんな方達におすすめしたいのが、事業のVI制作です。VIはビジュアル・アイデンティティの略で、企業の思想や理念をビジュアル化したもの。法人化の場合、ロゴ制作に始まり、名刺、パンフレット、ウェブサイト、広告などこれから必要になるアイテムはたくさんあるでしょう。 

 

「CHICS(シックス)」はVI専門の制作チームで、ロゴ制作をはじめロゴを活用したツール展開を行い、事業のVI構築をサポートします。ロゴ制作はもちろん、名刺や封筒などの販促品もワンストップで制作できるため、面倒な事務手続きを少しでも楽にしたい方にもおすすめです。 

 

個人事業主の時には設けていなかったロゴも、法人成りのタイミングで新たに制作すれば、今後はロゴが事業のシンボルとして活用できます。事業の発展のためにも、法人成りのタイミングでVI構築を検討してみてはいかがでしょうか。 

 

 

 

法人成りのタイミングは売上・利益・信用にあり!

法人化による節税効果を得たいなら、売上や利益、消費税の面で一定のタイミングを見計らうのがベストです。また、今後事業拡大のために社会的信用を得たい方も、今が法人成りのタイミングと言えるでしょう。タイミングを図らず闇雲に法人成りすることで損する場合もあるので、売上や利益を加味して検討することをおすすめします。 

 

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